今度こそ見逃さず! ピクサー出身・堤大介氏の「ダム・キーパー」 祝日4/29(金) NHK Eテレ9:55AM~再放送
April 26, 2016

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まるで生きているかのような光と空間。シンプルに研ぎ澄まされたアニメーション。
何よりも手描き感あふれるタッチが、子供から大人まで愛される作品に仕上げているのでしょう。

ピクサーから独立し制作会社「トンコハウス」を設立。堤大介氏の
オリジナル・フィーチャー・フィルム第1弾「ダム・キーパー」は、
2月の放映や数々のイベント露出により、日本でもファンを確実に増やしつつある。

ダム・キーパー(Dam Keeper)とは、ダムの管理人のような仕事のこと。
主人公のブタ君は孤児として、街のダムを定期的に開閉したり、
手入れしたりする仕事をしながらひとり生活している。ダムと言っても
川ではなく、街に押し寄せる大気汚染から街を守るダムで、ブタ君のその
小さなからだをフルに使って風車を回し、汚染ガスを吹き返す。

学校でも友達はいなく、いつも同級生たちにいじめられている。
本作はキツネの転校生がやってくるところから文字通り「色」を帯び始める。

そういえば数年前に公開された「カールじいさんの空飛ぶ家」(洋名: UP)でも
ストーリーの場面展開に合わせて、色づかいやトーンが変わっているのに気づいた人もいると思う。
こちらはピート・ドクター(Pete Doctor)監督、ライティングの担当はロウ・ロマノ(Lou Romano)氏によるもので、
両氏ともモンスターズ・インクはじめさまざまな大作に彩りをもたせてきた。
続編モンスターズ・ユニバーシティでは堤氏もライティングやシェーディングの監督として参加している。
その色彩や照明の表現力は、見るたびに「いったいどうしてこうなるのだろう?!」というインスピレーションを与えてくれる。

「ダム・キーパー」では特に、堤氏の持ち味ともいえるその照明の表現力が
まるでマジックを見ているかのような不思議な絵をつくっている。
私はアニメーションの極意を「出来るだけ動かさずに、できるだけ多くを伝える」ことだと
考えているが、本作はまさにその成功例ではないかと思う。

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堤大介 Dice Tsutsumi。
堤氏を初めて知ったのは15年ほど前、ブルー・スカイ・スタジオで「アイス・エイジ」の
制作にかかわっていた頃の記事を、雑誌で見かけたときだった。当時から、
チーム単位でいかにスムーズに制作を進めていくかを精力的に学びながら積み上げていたのは
記事の内容からも読んでとれた。私は留学した10年前からしばらくは、
このようなチームというものに平凡な興味しかなかったが、やはり実際に
仕事をするようになって -特に最近小さなプロジェクトでアート・ディレクターの
ポジションを経験してから、働いているのは人、ということを肌で学んだ。
良い意味では、自分のフィルタを超えて、まったく別の観点からのアイデアを得られるところ。
悪い意味では、性格や価値観の違いからそりが合わないときがあるところ。

ディレクターとしての目標はその上にあり、
彼らを育成し、自分がいなくてもスタンドアローンに動ける組織にしてゆくこと。
その良い・悪いところをうまく活用し、自分の観点を柔軟にしながら目標へ近づいてゆかなければならない。
自己完結型の個人制作しかやってこなかった自分にとって、頭をスポンジ並みに柔らかくする機会となった。

これまで堤氏がピクサーで学んだことについて いくつかの記事で拝見することができたが、
尊敬する先人こそ直面してきたこの「チームワーク」ということについて読んでいるうちに、
自分のしていることに確信が持てたという感じがした。

堤氏は、ピクサー時代の戦友にして現在トンコハウスのパートナー、ロバート・コンドウ氏とともに
新たなタイトルの制作に励んでいる。次作は絵本「ムーム」(川村元気・著、益子悠紀・イラスト)
を原作としたアニメーション映画。トンコハウスのソーシャル・メディアでもちらちらと進行具合を垣間見られ、楽しみである。

(一部・敬称略)

トンコハウス公式HP: http://www.tonkohouse.com/jp/

▼街の外は? 汚染はどうして? 短編ではまだ描かれていない世界が、長編で明かされる。
「ダム・キーパー」長編版制作中

第87回アカデミー賞短編アニメ賞にノミネートされた『ダム・キーパー』を長編化することを、同作を手掛けた日本人クリエイターの堤大介監督と日系人アーティストのロバート・コンドウ監督が発表した。

▼入荷したて!東映動画主催インタビュー・日本のフルCGアニメの未来を探る
 私にとっても、学生時代「アニメっぽい」と言われ、なかなか型がやぶれなかったこと
 などにつながる、目から鱗な話ばかり。「ダム・キーパー」長編化や 新作「ムーム」も含め
 一歩先を見据えた堤氏の言葉が詰まっています。

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